君の音に近づきたい


翌日朝、学生ホールの掲示板の前に、ひとだかりができていた。前にも見たことのある光景だ。

私の心臓も、加速度的に早くなる。

ざわめきの向こうの一枚の張り紙に、その結果が書かれている。

緊張がみなぎる身体をなだめながら、そこへと進んで行く。

「桐谷さん、おめでとう」

その声は、人だかりの中にいた林君だった。
周囲にいた人も一斉に私に振り向く。

「……え?」

「選ばれたのは、君だよ」

静かな林君の声が、私の脳内を駆け巡った。