「乃南さん」

その声に視線を向けると、いつの間にかわたしの隣に大森さんが座っていた。

いつからいたんですかーっ!?

そう思ったわたしに、
「アタシが隣にいたことに気づかないほど、何をお考えになっていたのですか?」

妖艶な笑みを浮かべながら、大森さんが聞いてきた。

あー…これは言わないと絶対にやられるよね?

そう思いながら、
「大森さん、よく演奏しますよね?

この『Heart Drops』って言う曲」

わたしは言った。

それに対し、
「アタシの思い出の曲ですからね」

大森さんが答えた。