本気で落ちてしまえば、失うときの辛さすら想像できない。

それがずっと恐かった。



歩美の部屋までの道のりを、二人で並んで歩いて行く。

歩美は相変わらず、あの皿を大事そうに抱えてた。



歩美だって、オレのこんな性格にいつ嫌気がさすか

我慢ができなくなるかわからない。



それならオレが
まだ何もしていないうちに

オレが歩美に
落ちてしまう前に

離れてしまった方が、ラクなんじゃないか。




「オレ今日、別の女の家に行ってたんだけどさ」

「……」