あんまりでしょう。

ばんっ

「え」
「むかつく」
合プラの机を叩いて立ち上がる。
振り向くとわけがわかりません、と書いてある馬矢くんの顔。

ざまぁみろ。

「あのさ私明日宇宙にいくの。すごくない?強制的にさ、やばいよね~なんかほんとわけわかんないんだけどさぁ」

喋っちゃ駄目って言われたけど知らない。どうせ明日は空の果てだし。

「死んじゃうかも。もう帰ってこれないかも。不公平で不幸だわ。馬矢くん私」

夕焼けがうるさいほど、「馬矢くんがすき」
私たちを照らす。

傷つけ傷つけ傷つけ傷つけ。
あんたなんか。

「寅川さん」
あーあ、
こいつ本当に綺麗な顔してるわ、
「なんでウソつくの」
おお、水のような瞳。

「なんでうそだと思うの?」
しらばっくれる私もばかみたい。
「わからないけど君は僕を嫌っている」

全て知ってるような口をきくね、馬矢くん。

彼の言うことは至極最もだった。私はきっと蔑むように彼と対峙していただろうから。だってだれでもいいから、このもやもやをぶつけてやりたかった。
明日死ぬかも知れない私に好きだなんて言われてちょっと胸くそ悪くなればいいって。
ちょっとでも寂しく思えちょっとでも悲しく思えちょっとでも傷つけ。
どうせすぐ忘れちゃうんだからいいじゃんか。

あ。

なきそう、

「馬矢!」
「な、なに」
「キスしよう」
「え」
「キスしよう」
「あ、うん」

ごちん、と歯がぶつかった、頭突きのようなファーストキス。さよなら私のファーストキス。さよなら馬矢くん。さよならみんな。


あ、口切れてる。