自転車を全力で漕いで学校に到着すると、
昇降口にはまだ沢山生徒がいた。

よかった。遅刻じゃない。

下駄箱に行くと、菅谷くんがちょうど上履きに履き替えたところで……
「おはよう。木崎さん」なんてニコッと笑顔で挨拶してくれた。

眩しいカッコ良すぎるよ菅谷くん。と心の中で絶賛しながら私も「おはよう」と挨拶を返す。さらにイケメンなことに菅谷くんは私が靴を履き替えるのを待っていてくれた。どうやら一緒に教室まで行けるみたい。

こういうことをさらっとしちゃうから女の子に大人気なんだよね。

「2限の数学の宿題終わったー?」なんて
他愛もない話しをしながら教室に向かう。

朝から幸せだなぁ。


教室に入るとすぐに莉子ちゃんが来てくれた。
「おはよう!千春。 昨日あのあと大丈夫だった?LIMEしたけど返事が来ないから心配したよー」

昨日?? えっと、菅谷くんを音楽室で待ってて、その後…… 「あぁぁ!!」
思考が止まる。 遅刻しないかどうかに夢中で昨日の記憶飛んでた。よく、菅谷くんと話してて気づかなかったな自分。

「ちょ千春大丈夫??もしかして振られた?」

自分の鳥頭っぷりに呆れながら、
なんて説明しようか考えている内に
キーンコーンカーンコーン

予鈴がなって担任の先生が入ってきた。

「その話はまた後で!!」と心配そうな莉子ちゃんをなだめ自分の席に向かう。