ちなみに、私がお世話になっているこの教会を建てた牧師さんとウィバリーさんには、何の関係もなかったそう。ただ単に牧師さんが、この場所が気に入ったから、此処に教会を建てたんだとか。
この教会が建てられたのは、終末戦争が起こる直前、およそ数十年以上前。
さっきのウィバリーさんの話を聞いた後だと、数十年が短く感じる。けれど、そうじゃなければ、教会がこれほどしっかり原型を保っていられない
もし1000年以上も前にこの教会が建てられたのなら、もうとっくに朽ちてボロボロになっている筈。
牧師さんも、ウィバリーさんと同じく、自然を愛する人であったのかもしれない。そうじゃなかったら、この林にわざわざこんな大きな教会を建てない。
それに、牧師さん自身も、精霊さん達の存在には気づいていたらしく、林の奥地へは決して近寄らず、清らかな水が流れる小川に、毎日万謝の言葉を述べていたそう。

「精霊さんは、その牧師さんと話をした事があるの?」

「あるけど、1度や2度程度よ。
 あの牧師さんも、せっかく綺麗な教会を建てたのに、その数年後には、もうすでに戦争の歯止
 めがきかなくなっていたから・・・」

「・・・・・。」