そう言いながら、精霊さんはクスクスと笑う。精霊さんは、どうやら自分達が私を引き込んだと思っていたみたいだ。
でも、私は精霊さん達に恨みなんて持ってないし、むしろ深謝している。この世界に来たばかりの私を、色々とサポートしてくれたんだから。
薬草や果物が多く収集できる場所を教えてくれたり、この教会を教えてくれたのも精霊さんだ。動物達も、よく私の所へ遊びに来ている。来る度に体を擦り付け、「撫でろー撫でろー」と言わんばかりに・・・
私は動物の扱いに慣れていない方だったけど、此処での生活で、動物達の癒しがどれだけ大事なのかを知り、動物達が自然に与える影響も勉強できた。
こうして私が手当てをした山猫も、完全に私にべったり状態。群れに返せるのか不安になるレベルで。
私をこの世界に転生させた神様も、精霊さん達の事情を把握した上で、私にこの身体を授けて下さったのだろうか・・・?
生前、私はブロンドの髪に憧れていた時期があった。黒髪である日本人の女性なら、誰もが一度は思ってしまう筈。
何故なら、御伽噺や童話に出てくるプリンセス達は、皆麗しいブロンドの髪だったから。私の場合、小学校の先生から「かぐや姫みたいな髪だね」なんて言われたけど、当時の私は全然嬉しくなかった。
今思えば褒め言葉として受け取れるけど、日本の「お姫様物語」が、かぐや姫しか当てはまらないのが、日本人としてはちょっと悔しい。
・・・ただ、もう私は日本人ではない。この世界に『ニホン』という国は、元から存在しない。ただ、今の私を『外国人』と呼べるのかは、微妙なライン。