「・・・でも、私この世界に来て丸一日が経過したんですけど、人っ子一人いませんよ?
 もしかして、林を抜けた先に集落とかがあるんですか?」

「・・・えぇ、この近くには集落があったのよ。

 ただ今は・・・」

「・・・なくなったんですか? どうして・・・?」

「それを説明するには、まずこの世界で起きた『終末戦争』の話をしなくちゃいけないわ。」

「『終末戦争』?!!」

「勘弁してよ・・・」と思いながらも、納得してしまう自分。その精霊さんが言っている事が事実なら、人の姿を全く見かけないのも頷ける。
てっきり、たまたま人が行き来しない場所なのかと思っていたけど、それにしては少し妙だった。さっき、焚き火をする時に使った『金属の棒』がその一つだ。
若干錆びているけど、焚き火に照らしながらよくよく見てみると、それが『釘』である事が分かった。ただ、林の周りには家もないし、あるとしたら、それらしき『残骸』のみ。
木の板やガラスの破片は見つかっている。ただ、肝心の家は、原型を留めていない程ボロボロの状態。その様は、明らかに自然と崩壊した見た目ではない。
昔、この林を生活の拠点にしていた人がいるのかも分からない。雨風を凌げる状態でもなく、使えるのは残骸のみ。