「・・・あら?
 生きてる『ニンゲン』がまだ居たのね」

「っ!!!」

突然私の真後ろから、女性の声が聞こえた。さっきまで気配ひとつしなかった筈の、深い林の中から。私はすぐ声のする方向を振り向いた。だがそこにいたのは明らかに『人間』ではなかった。
何故なら、私に話しかけてきた存在は、一言で例えるなら

『精霊』だった。

肌や靡く髪が、透明な水で構成されている、『人型の精霊』

でも、私の事をちゃんと認識しているらしく、驚きながら後ろへ後ずさる私を見て、その精霊さんはクスクスと笑っていた。
体型からして『女性』みたいだけど、そもそも精霊自体に性別があるのか分からない。ただ、敵意はなさそうだ。普通に私の顔を覗き込んでくるし・・・
とりあえず、私は挨拶をしてみる事に。

「えーっと・・・こんばんわ?」

「あら? ちゃんと教養があるのね?
 てっきり学校なんて、もう何処にも『無い』と思っていたけど。」

「・・・・・??
 それって、どうゆう事ですか?」

「え? 貴女、この世界で何が起こったのか知らずに生きていたの?
 そんな馬鹿な事があるわけないわ!!」

「あっいやいやいや・・・
 えーっと・・・何から語ればいいのか・・・」