だがそんな態度を取られても、素戔嗚尊様は平然な姿勢を崩す事はない。
むしろ、「困った猫だなぁ」と言いながら、女王様を揶揄っている。そんな態度を久しぶりに見た私は、つい笑みを零してしまった。
ヌエちゃんとシーズさんは、相変わらずポカンとした表情のままだけど、素戔嗚尊様を敵意している様子でもなかった。
私と神様が、あまりにも軽い口調で話しているから、緊張感すら持てないのかもしれない。
そもそも素戔嗚尊様と初めて出会った時からこんな会話を繰り広げているんだから、私はそもそも違和感すら感じない、むしろ懐かしくて嬉しいくらいだ。
素戔嗚尊様は、硬直している女王様を見て、「ふぅ・・・」と小さなため息をついた後、左手を天に向かって翳した。
すると、その左手が黄金色に光り、その光に包まれていたのは、とんでもなく大きな太刀。これが太刀を超える『大太刀』か・・・?
いかにも重そうだし、私が持ったらきっと腕や腰の骨を折りそうだ。しかし素戔嗚尊様は、それを軽々と片手で回し、そのまま女王様の元へと歩み寄った。
女王様は、歯茎を剥き出しにして抵抗しようとしているが、本物の神を前に、なす術もなく、ただ怨恨を込めた視線を送るしかできない。
しかし、そんな彼女の視線なんて一切気にも留め図、素戔嗚尊様は、持っていた大太刀を女王様に振り下ろす。
その瞬間、『パリン』という、何かが割れる音が聞こえ、視界が一瞬にして純白に包まれた。