突然、後ろから聞こえた『懐かしい声』
意気込んでいた私の意思を折るような発言に、ちょっとだけ苛立ちを覚えたけど、それよりも驚きの方が勝っていた。
そして女王様も、目を点にしながら動揺している。ヌエちゃんやシーズさんは、自分の事で精一杯な状況だけど、シナノ様の反応にも驚愕した。

「やっとお出ましですか、随分遅かったですね。」

「すまないって。まさか彼女がここまで追い込んでくれるとは思わなかったからな、つい見入っ
 ていた。」

そう、シナノ様の口調は、まるで知り合いに久しぶりに会ったような、軽い口調。神獣だから、こんな反応にもなるのかと思ったけど、それにしては・・・

「ユキナ、ヌエ、そしてシーズよ。
 今まで黙っていてすまぬな。私は『この時』の為に、お前達をずっと見据え続けてきたのだ
 よ。」

「・・・何を言って・・・」

私がそう言いかけたと同時に、『彼』がシナノ様に手を翳す。すると、シナノ様の体が光り始め。その光の帯は、全てを吸収している女王様を包み込んだ。
光の帯は、まるで女王様を締め付けるように巻きつき、ブラックホールの活動を停止させる。そのブラックホールを作り上げた女王様は、まるで電池の切れた人形のように、ぐったりしていた。
だが、女王様の顔はまだ苦悶に満ちていた。歯切りしりをしながら、『彼』

『素戔嗚尊』を恨めしい目つきで睨みつけていた。