武器は無くなってしまったけど、トドメは刺せた。心臓を貫かれた女王様は、そのまま床へと落下。『グチャリ』という耳障りな音と共に、魔法陣も砕け散った。
それを見て唖然とするヌエちゃんとシーズさん。でも2人の顔は、驚喜に満ちていた。剣の投球なんて初めてだったけど、当たったのはやっぱり精霊さんのおかげだ。

「・・・・・・・・・・
 ・・・うぅ・・・」

「っ?!!」

仕留めたと思っていた女王様が、モゾモゾと動いている。心臓を貫かれた挙句に、天井から床へ落下すれば、逝ってもおかしくはない筈。
焦った私は、武器になりそうなものが近くにないか探したが、それよりも先に、女王様が新たに変化する方が先だった。
女王様がフワリと立ち上がったと思いきや、突如その体からブラックホールのような物体が生まれ、周りにある物を全て吸い尽くし始めた。
地面の水も、あちこちに散らばる本も、ベトベトに濡れた紙も。その風量はどんどんと増していき、立っているだけでもやっとな状況に。
私は近くにあった本棚を掴んだけれど、さっきの激しい戦闘で当たりはグチャグチャ。私の身長よりも何十倍高い本棚であっても、すぐに倒れて吸い込まれてしまいそう。

「母さんが・・・まだ諦めていない!!!
 周りの魔力を吸収して、蘇ろうとしている!!!」

「マジィ?!!」