そう言いながら、精霊さんは私の両手を握り締めた。精霊さんの手はすごく熱く、溢れ出る大粒の涙は、私の手にぽたぽたと滴り落ちる。
私も涙が込み上げるけど、今はグッと抑えないといけない。何故なら後ろの方でも、ヌエちゃんやシーズさんの啜り泣く声が聞こえる。
きっと、あの古龍と真っ当に戦えるのは、この中で私しかいない。だからこそ、これが私の一世一代であり、最初で最後の『戦争』となる。
僅かに残された人間と、僅かに残された精霊たちの力を借りた戦い。例えそれが、世界の寿命をほんの僅かしか伸ばせないとしても、それでもやらなければならない。

この世界は、まだ終わってはいない。
この世界には、まだ希望が沢山残されている。
その希望を掴み取り、未来へ繋げる為。
これが『最後の戦争』だという、願いを込めて・・・

「・・・精霊さん??」

語り続ける精霊さんの体が、徐々に光っていた。濁りが一切ない青い海の様な光は、精霊さんの体を徐々に包み込んでいく。
それと同時に、精霊さんが私の両手を掴む握力が、どんどんと弱々しくなっている。でも何故か、精霊さんの顔は、穏やかな笑みに満ち溢れてた。
一瞬慌てた私だけど、彼女のその表情を見て、これ以上何も語らない方がいいと思った。何故なら精霊さんも、『覚悟』を決しているのだから。
その気高い覚悟を揺さぶるわけにもいかない。私達はこれからの未来へ進む為に、無駄な心境や価値観を切り捨て、次へ進む覚悟を決めなければならない。
長引く戦争を止められなかった人々の二の舞にならぬ為。人類の歴史を挽回させる為に・・・!!