そして、もう一つ新たな変化が訪れた。
その日もいつも通り、林の拡張に精を出していると、荒地の向こうから、今までに見た事のない『物体』が、こちらに向かって歩いて着ていた。
荒地を彷徨っている飢獣は、遠目からでも分かるようになった。でも、明らかに飢獣とは違った輪郭だった為、私は『槍』を手に臨戦状態に。
そんな私の反応を察した相手が、大手を振って呼びかけてきた。今まで飢獣がこんな反応を示した事はなかった、相手が飢獣の場合、有無を言わさず襲って来たから。
そう、この林を目指して来てくれたのは、ヌエちゃんやシナノ様だけではなかった。その日は二人の姉妹が、この林に逃げ込んで来た。
その姉妹も国から逃げ出した過去を持ち、長い間ずっと荒地を彷徨っていたそう。しかも、姉妹達の話によると、旅の途中で何人もの『人間』に巡り合ったらしい。
ただ、生き残っている人間の殆どは、住処を持たずに放浪を続けているらしく、今までこの林以外に、『まともな場所』は見つけられなかったそう。
私とヌエちゃんは、その姉妹達も歓迎した。そう、私達人類にも、『希望』が見え始めたのだ。こうして林を拡張していけば、彷徨っている人間達にとっての『目印』になる。いずれこの場所に『集落』を作る事も、可能かもしれない。
姉妹達への説明は、ヌエちゃんが積極的にしてくれた。そしてその姉妹達にも、DIYを教えてあげた。姉妹達は助けた直後、こんな言葉を口走っていた。