「・・・茜、ちょっと店に忘れ物しちゃって。すぐ戻るから待ってってもらっていいかな?」


「・・・うん。いいけど早く戻って来てね。」


下から見上げる茜の瞳と目が合うと、少し心が痛む。


「じゃあすぐ戻るから。」


・・・バタン・・・


足早に、村上との待ち合わせ場所へと向った。



村上の車が近づく。


あと少しで村上の顔が見れる。


そう思っただけで、アタシの口元が緩んだ。


窓が静かに開く。


素敵な横顔が静かに見えてくる・・・。


「まなちゃん、寒いでしょ、早く車に乗りな。」


村上の素敵な声だ・・・。


アタシはこれだけで心臓が止まりそうになった。


バタン・・・


「お邪魔します。」


「まなちゃん、逢いたかったよ・・・。」


車に乗ってすぐに村上がキスをしてきた。


触れるか触れないかの、優しいキス。


あまりにも優しすぎて、アタシは村上の下唇をぺロっと舐めた。


すると、村上はそのままアタシの舌に歯をたてた。


「痛っ・・・。」


少しの血が流れた。


それでも村上はその血を吸うように、アタシの舌に吸いついた。