「お疲れ様でした。」
店も閉店となり、アタシは少しイライラとした気持ちを抑えながら店のドアを開けた。
それと同時に千明さんと美奈さんが、後に続いた。
冷たい風がすっと流れてくる。
後ろを振り向き、千明さんと美奈さんに軽い会釈をした。
と、言っても口元を少しも動かずにだ。
トントン・・・
肩を鳴らす音。
ゆっくりと後ろを振りむく・・・
「麻波ちゃん、もう少し自分の立場わきまえて。態度、悪過ぎだから。」
アタシより10㎝は高い背で、見下ろす様に千明さんが言った。
「・・・すみません・・・」
そう言うと聞こえる様に舌うちをし、ヒールの音を鳴らしながらスタスタと真っ直ぐに歩いた。



