アタシと村上はビールを頼んだ。


「乾杯」


グラスを軽く上に上げるだけの乾杯だ。


「まなちゃんは、本当にビールが好きなんだね。」


「はい。一番飲みやすくて。」


パチパチと瞬きをしながら言った。


村上との会話にはかなりの間がある。


アタシもあまりしゃべらないほうだが村上もあまりしゃべらない。


普段、仕事中なら間をつくらずしゃべる。けれどプライベートとなるとうまく会話が出来ない。


「何だか今日のまなちゃん大人しいね。」


「そんな事ないですよ。ゆっくりと飲むのも好きなんで。」


アタシは村上との、静かなこの間が好きになった。


静かな会話。


ゆっくりと飲む酒。


そして村上。


アタシは久し振りにこんな感情になった。