バタン...


店のドアを閉めた。

「村上さん、気をつけて帰って下さいね。」


村上の顔を見上げた。


村上はさほど背は高くない。


小柄なアタシが少し背伸びすればすぐ口元に届きそうなくらいだ。


「まなちゃんはあと少し、仕事頑張ってね。」


整った口元を少し緩めながら村上が言う。


「はぃ。ありがとぅございます。」


村上の口元を見つめながら言った。


暫く、否、ほんんの少し村上の口元を見つめている時...


少し...


ほんの少しずつ村上の顔が近くなる。


...


軽く...否、確実に村上の唇がアタシの唇に合わさった。

と、同時に村上の冷たい舌が入ってきた。


アタシはその流れのまま村上の首に両手を回した。


優しかった村上の舌が急に激しくなった。


お互い目は閉じていない。


二人の口元に目線。

そして、たまに目が合う。


その二つの目線を浸すらに繰り返した。