リアル

和風創作料理『ari』


和風と言うより店の作りは洋風。


テーブル席が五席しかない小さなお店。

その店にアタシと茜はいた。


普段ジョッキで飲んでいるビールはグラスだ。


軽くグラスを合わせる。


「乾杯」


白身魚のカルパッチョとエリンギのソテーをツマミに頼んだ。


「茜、あの男だよ。」


「ぅん。分かってる。」


アタシと茜は『真実』の彼氏に目をつけていた。


真実の彼氏は見るからにサラリーマン風だ。


歳は30を越えている。


アタシと茜はキャリアウーマン、と言うよりコスプレに近いスーツ姿でいた。


....


茜がトイレに立った。


トイレに行くには真実の彼氏達の席の前を通らなければならない。


茜はヒールをコツッコツッと静かに鳴らしながらその前を通った。


アタシはその茜の姿を目で追っている。

やっぱり。


真実の彼氏達は茜に目がいった。


会話が止まり、茜を見ている。


その時、


「あのっ!落としましたよ!!」


その男達が茜に声をかけた。


「...あっ。すみません...。」


茜がしおらしい声で言う。


茜はわざとフリスクを落としたのだ。


茜はフリスクを受け取るとニコリとその男達に会釈をした。