リアル

アタシ達はビルの四階にあるバーに入った。


薄暗い照明とカウンター席しかないバーだ。


「マスター生二つ。」


お決まりのビールを頼んだ。


「乾杯。」


アタシ達は必ず飲む時は『乾杯』をする。


カウンターに腕をつき、その上に顎を乗せながら茜が言った。


「...あたし、真実って女、やっぱり気に入らないわッ。」


低い声だ。


「...アタシは杉田オーナーも気にいらないけどねッ。」

横目でアタシは茜に言う。


茜は相変わらずの大きな目でアタシを見つめた。


「...麻波は気に入らないかもしれないけど...あたしはジュンが好き。」

真っ直ぐな目で言う茜にアタシはそれ以上何も言えなかった。


「麻波、あたし自分がよく分からなくなってきたよ。あたしはジュンの彼女ではないわけだし。嫉妬してる自分が馬鹿みたい...。」


アタシはビールをぐっと飲み干した。


「マスター同じのもぅ一杯お願い。」


アタシは冷えたビールを茜のグラスに合わせた。


「乾杯」


「さっきも乾杯してまた乾杯?」


茜がクスっと鼻で笑いながら言った。


「ねぇ、茜。あの女...真実には少し痛い目みてもらおうよ...。」


煙草を吸いながらアタシは言った。


茜はニヤリと笑って軽く頷いた。