一方、オリガに連れ出されたイリーナは衣装部屋で着せ替え人形と化していた。連れてこられてからというもの、ファッションショーが終わらない。それもタバサを含めたメイドが総動員されていた。
「さあイリーナちゃん。次はこれを着てみてちょうだい!」
普段よりも明るいオリガの声に、こんなにもテンションの高い母を見たのは初めてだとイリーナは圧倒されていた。
「奥様、このフリルたっぷりのピンクのドレス、着れば可愛らしいこと間違いなしですよ!」
「あら、いいわね」
「奥様、こちらもお勧めです! 青いドレスを着せることによって、幼さの中に清楚さと愛らしさが生まれます!」
「素晴らしいわ」
一人一人の勧めるドレスに熱い感想を返しては試着が行われるため終わりが見えない。クローゼットにはまだ袖を通していないドレスが見え隠れしている。
一体何着あるんだろう……遠い目をするのは渦中の幼女である。イリーナはドレスよりも貴重な薬品生成の素材にときめく体質になってしまった。
(みんな元気だなー……というかイリーナちゃんて何!?)
生まれてから、?ちゃんなどと愛らしく呼ばれた記憶はない。
「イリーナちゃんはどれがいいかしら?」
ぐいと詰め寄られたイリーナは逃げ腰で答えた。
「私は、母様が選んでくれたものなら、どれでも……」
「まあ、嬉しいを言ってくれるのね。けど責任重大だわ。どれにしようかしら……」
目移りするオリガにどれでもいいですと呟いてみるが届かない。
「私ね、イリーナに着てほしい服がたくさんあるのよ」
「そうなんですか?」
「貴女はこのくらいの年齢から部屋にこもるようになったでしょう。作らせたまま袖を通していない服がたくさんあるのよ。しまっておいたのだけど、まさか着てもらえる日が来るとは思わなかったわ。だから私……」
「母様?」
「こんなことを言ってはあの人には怒られるわね。イリーナには酷い母親だとがっかりさせてしまうかもしれないけれど、少しだけ……あの頃が戻ってきたようで嬉しいの。私、娘と過ごせなかった時間の大切さを貴女が大きくなってから思い知ったわ」
「母様……」
(そんなこと言われちゃうとそろそろ一時間経ちますよって言い難いんだけど……)
この騒動は二人を待ちわびたローレンとオニキスが部屋を覗きにくるまで続いた。イリーナには最後まで母を止めることが出来なかったのだ。
「母さん。あまり時間をかけてはイリーナが腹をすかせてしまうのでは?」
オニキスの提案に便乗してイリーナが切なそうな表情を向ければ効果は抜群だった。
「大変! イリーナちゃん、お腹をすかせているのね!? 食事の支度を急がせるのよ!」
「いや、母さんが着替えに時間を」
「私がなんですって?」
「あ、いや、はい……」
オニキスは思った。こんな風に母からきつい言葉を浴びせられたのは初めてかもしれない。それは傍で止めに入ろうとしていた父も同じらしく、結局もう一時間待たされることになってしまった。
「さあイリーナちゃん。次はこれを着てみてちょうだい!」
普段よりも明るいオリガの声に、こんなにもテンションの高い母を見たのは初めてだとイリーナは圧倒されていた。
「奥様、このフリルたっぷりのピンクのドレス、着れば可愛らしいこと間違いなしですよ!」
「あら、いいわね」
「奥様、こちらもお勧めです! 青いドレスを着せることによって、幼さの中に清楚さと愛らしさが生まれます!」
「素晴らしいわ」
一人一人の勧めるドレスに熱い感想を返しては試着が行われるため終わりが見えない。クローゼットにはまだ袖を通していないドレスが見え隠れしている。
一体何着あるんだろう……遠い目をするのは渦中の幼女である。イリーナはドレスよりも貴重な薬品生成の素材にときめく体質になってしまった。
(みんな元気だなー……というかイリーナちゃんて何!?)
生まれてから、?ちゃんなどと愛らしく呼ばれた記憶はない。
「イリーナちゃんはどれがいいかしら?」
ぐいと詰め寄られたイリーナは逃げ腰で答えた。
「私は、母様が選んでくれたものなら、どれでも……」
「まあ、嬉しいを言ってくれるのね。けど責任重大だわ。どれにしようかしら……」
目移りするオリガにどれでもいいですと呟いてみるが届かない。
「私ね、イリーナに着てほしい服がたくさんあるのよ」
「そうなんですか?」
「貴女はこのくらいの年齢から部屋にこもるようになったでしょう。作らせたまま袖を通していない服がたくさんあるのよ。しまっておいたのだけど、まさか着てもらえる日が来るとは思わなかったわ。だから私……」
「母様?」
「こんなことを言ってはあの人には怒られるわね。イリーナには酷い母親だとがっかりさせてしまうかもしれないけれど、少しだけ……あの頃が戻ってきたようで嬉しいの。私、娘と過ごせなかった時間の大切さを貴女が大きくなってから思い知ったわ」
「母様……」
(そんなこと言われちゃうとそろそろ一時間経ちますよって言い難いんだけど……)
この騒動は二人を待ちわびたローレンとオニキスが部屋を覗きにくるまで続いた。イリーナには最後まで母を止めることが出来なかったのだ。
「母さん。あまり時間をかけてはイリーナが腹をすかせてしまうのでは?」
オニキスの提案に便乗してイリーナが切なそうな表情を向ければ効果は抜群だった。
「大変! イリーナちゃん、お腹をすかせているのね!? 食事の支度を急がせるのよ!」
「いや、母さんが着替えに時間を」
「私がなんですって?」
「あ、いや、はい……」
オニキスは思った。こんな風に母からきつい言葉を浴びせられたのは初めてかもしれない。それは傍で止めに入ろうとしていた父も同じらしく、結局もう一時間待たされることになってしまった。



