「料理長も白状した。我が家の食卓に見たこともない料理が並ぶようになったのはイリーナからの情報提供によるものだったとな」
「我が家の生活はイリーナによって支えられていたのか……」
「そう言っても過言はないだろう。イリーナの研究室にはその証拠が全て揃っていた。お前も後で覗いてみるといい。驚くぞ」
「もうすでに驚いてばかりですが、気になるので覗いてみることにします」
「ああ。私たちの知らぬ間にイリーナは随分使用人たちと親しくなっていたようだな」
「本当に、壁を作っていたのは俺たちにだけだったんですね」
口にすると急に寂しさが込み上げるような、切ない気分になる。仕切り直すべくオニキスは今後についての考えを巡らせた。
「学園にも秘密にしておくとして、この件はアレンにも秘密にしておきますか?」
思い出されるのは妹のことを気に掛けている婚約者候補の存在だ。先ほどまで一緒にいただけに、学園で顔を合わせたら何か聞かれるかもしれない。
「アレン殿下か……あの方はイリーナの婚約者候補ではあるが、秘密を知る人間は最小限に留めたい」
ローレンは躊躇いながらも決断を下す。
「イリーナの研究成果だが、あれが明るみに出ればこの国の魔法歴は大きく変わるだろう。あの子にはそれほどの価値がある。王家もイリーナがここまでの魔女だと知れば何を言うか想像がつかん。それもイリーナはあの姿だ。このままでは他人に利用されることもあるだろう。我々で守る必要がある」
優れた魔女であればアレンの婚約者として重宝される。しかし利用されるだけというのなら親として黙ってはいられない。幼子に戻ったイリーナにはまだ善悪の区別がつかないはずだ。
「わかりました。父さんの判断に従います。俺もあいつが悲しむような結果は望みません。それはそうと」
オニキスは扉の方に視線を向ける。
「なんだ?」
「随分と遅くありませんか?」
イリーナとオリガが姿を消してから一時間が経とうとしていた。
「我が家の生活はイリーナによって支えられていたのか……」
「そう言っても過言はないだろう。イリーナの研究室にはその証拠が全て揃っていた。お前も後で覗いてみるといい。驚くぞ」
「もうすでに驚いてばかりですが、気になるので覗いてみることにします」
「ああ。私たちの知らぬ間にイリーナは随分使用人たちと親しくなっていたようだな」
「本当に、壁を作っていたのは俺たちにだけだったんですね」
口にすると急に寂しさが込み上げるような、切ない気分になる。仕切り直すべくオニキスは今後についての考えを巡らせた。
「学園にも秘密にしておくとして、この件はアレンにも秘密にしておきますか?」
思い出されるのは妹のことを気に掛けている婚約者候補の存在だ。先ほどまで一緒にいただけに、学園で顔を合わせたら何か聞かれるかもしれない。
「アレン殿下か……あの方はイリーナの婚約者候補ではあるが、秘密を知る人間は最小限に留めたい」
ローレンは躊躇いながらも決断を下す。
「イリーナの研究成果だが、あれが明るみに出ればこの国の魔法歴は大きく変わるだろう。あの子にはそれほどの価値がある。王家もイリーナがここまでの魔女だと知れば何を言うか想像がつかん。それもイリーナはあの姿だ。このままでは他人に利用されることもあるだろう。我々で守る必要がある」
優れた魔女であればアレンの婚約者として重宝される。しかし利用されるだけというのなら親として黙ってはいられない。幼子に戻ったイリーナにはまだ善悪の区別がつかないはずだ。
「わかりました。父さんの判断に従います。俺もあいつが悲しむような結果は望みません。それはそうと」
オニキスは扉の方に視線を向ける。
「なんだ?」
「随分と遅くありませんか?」
イリーナとオリガが姿を消してから一時間が経とうとしていた。



