(もしかして私、どちらかの隠し子だと思われてます?)
固まった場の空気をものともせず、オニキスは続けた。
「みなまで言わずとも結構です。イリーナは真実に耐えかねて部屋を出て行ったのですね」
真実ってなんだ。イリーナは冷静に兄を見つめていた。その視線を受けたオニキスは辛そうに顔をゆがめているが、我に返った両親たちの一斉攻撃にあう。
「そんなわけがあるか! 私が愛しているのはオリガただ一人だ!」
「私だって旦那様一筋に決まっています!」
(あ、ちゃんと愛し合っていたんですね。父様と母様って)
イリーナは座席から二人の親を見比べた。ゲームでは厳格な両親としか描かれていなかった二人だが、心はしっかりと通じ合っていたらしい。予想もしない形ではあるが、気持ちを知ることが出来て良かったと思う。
「で、では、その子は一体!」
納得のいかないオニキスはオリガに食い下がった。
「だから貴方の妹だと言っているでしょうに!」
話が通じず、オリガは苛立っていた。しかしオニキスには未だに理解が及ばない。
「俺の妹はイリーナただ一人ですが、あいつは十七で……いやまさか、これがイリーナだと?」
イリーナは肯定するように頷いた。
「イリーナ? お前まさか、引きこもりの影響でそこまで不健康に!?」
「違いますよ!」
不健康で幼女になれるのならイリーナに苦労はなかった。あんな不味い薬を飲み干す必要もなかった。
「じゃあどうしたっていうんだ! このところは顔を合わせていなかったとはいえ、変わりすぎだろう。どう見ても十七とは思えない」
未だ疑うオニキスに告げられたのは驚愕の事実だった。
「信じられない。まさかイリーナが? あいつにそれほどの才能があったなんて……」
オニキスにとってイリーナは内向的な妹だった。部屋に閉じこもって大人を困らせ、自分の顔を見るなり逃げ出す臆病な人間。その妹が突然若返りの薬を完成させたと言われても理解が追いつかないのだ。
(ふふん! どうよ兄様!)
イリーナは兄に向かって胸を張る。攻略対象や家族には苦手意識のあるイリーナだが、褒められるのは素直に嬉しかった。
「それでイリーナは、元には戻ることは出来ないのですか!?」
息子の問いかけにローレンは重い口を開いた。幼女化したイリーナを除けばこの中で最も魔法に詳しいのはローレンだ。
「どうもイリーナには記憶の欠落があるようでな。我々もイリーナの研究室を調べてはみたが、あれは我々の手に負える代物ではなかった。若返りの薬についての記述も確認することは出来ていない」
もちろん幼女化についての記述を全て破棄したのはイリーナだ。
「私としてもイリーナを元に戻すため力は尽くすが、いずれにしろすぐには難しいだろう。イリーナ自身の助けもなしにどこまで研究を進められるかもわからない」
結論を聞いたオニキスは目に見えて落ち込んでいく。その理由がわからずイリーナは兄の傍へと歩いて行った。
固まった場の空気をものともせず、オニキスは続けた。
「みなまで言わずとも結構です。イリーナは真実に耐えかねて部屋を出て行ったのですね」
真実ってなんだ。イリーナは冷静に兄を見つめていた。その視線を受けたオニキスは辛そうに顔をゆがめているが、我に返った両親たちの一斉攻撃にあう。
「そんなわけがあるか! 私が愛しているのはオリガただ一人だ!」
「私だって旦那様一筋に決まっています!」
(あ、ちゃんと愛し合っていたんですね。父様と母様って)
イリーナは座席から二人の親を見比べた。ゲームでは厳格な両親としか描かれていなかった二人だが、心はしっかりと通じ合っていたらしい。予想もしない形ではあるが、気持ちを知ることが出来て良かったと思う。
「で、では、その子は一体!」
納得のいかないオニキスはオリガに食い下がった。
「だから貴方の妹だと言っているでしょうに!」
話が通じず、オリガは苛立っていた。しかしオニキスには未だに理解が及ばない。
「俺の妹はイリーナただ一人ですが、あいつは十七で……いやまさか、これがイリーナだと?」
イリーナは肯定するように頷いた。
「イリーナ? お前まさか、引きこもりの影響でそこまで不健康に!?」
「違いますよ!」
不健康で幼女になれるのならイリーナに苦労はなかった。あんな不味い薬を飲み干す必要もなかった。
「じゃあどうしたっていうんだ! このところは顔を合わせていなかったとはいえ、変わりすぎだろう。どう見ても十七とは思えない」
未だ疑うオニキスに告げられたのは驚愕の事実だった。
「信じられない。まさかイリーナが? あいつにそれほどの才能があったなんて……」
オニキスにとってイリーナは内向的な妹だった。部屋に閉じこもって大人を困らせ、自分の顔を見るなり逃げ出す臆病な人間。その妹が突然若返りの薬を完成させたと言われても理解が追いつかないのだ。
(ふふん! どうよ兄様!)
イリーナは兄に向かって胸を張る。攻略対象や家族には苦手意識のあるイリーナだが、褒められるのは素直に嬉しかった。
「それでイリーナは、元には戻ることは出来ないのですか!?」
息子の問いかけにローレンは重い口を開いた。幼女化したイリーナを除けばこの中で最も魔法に詳しいのはローレンだ。
「どうもイリーナには記憶の欠落があるようでな。我々もイリーナの研究室を調べてはみたが、あれは我々の手に負える代物ではなかった。若返りの薬についての記述も確認することは出来ていない」
もちろん幼女化についての記述を全て破棄したのはイリーナだ。
「私としてもイリーナを元に戻すため力は尽くすが、いずれにしろすぐには難しいだろう。イリーナ自身の助けもなしにどこまで研究を進められるかもわからない」
結論を聞いたオニキスは目に見えて落ち込んでいく。その理由がわからずイリーナは兄の傍へと歩いて行った。



