また翌日、慣れとは怖ろしいもので見慣れた光景にもイリーナが悲鳴を上げることはなかった。
「本当にあなた、つけたら成仏してくれるの?」
恨みがましく箱を睨み付けているとタバサが朝の支度にやってくる。
「本日はどうされますか?」
といっても引きこもりがすることなんてある程度決まっている。それでもタバサは毎日呆れずに訊いてくれるのだ。いつかはイリーナが外へ出ると信じているのだろうか。
「今日は父様と母様、兄様もいないのよね?」
「はい。みなさまお帰りは遅いと窺っております」
「ならドレスの用意をして。これに似合うドレスをね」
「お嬢様?」
「タバサが言ったのよ。つけてみれば満足してくれるかもしれないって」
侯爵邸の中でなら悪役令嬢と糾弾されることもないだろう。呪いの執念に根負けしたイリーナは部屋の外へ出ることにした。
「ではとびきり美しく飾らせていただきます。久しぶりなので、腕がなりますね」
表情の変化に乏しいタバサが嬉しそうにしているのを感じる。以前のイリーナは毎日のように着飾り遊び歩いていたのだが、このところは一人で着られるような控えめな服装ばかりだことを思い出す。
(これからは屋敷の中でももう少しおしゃれするべきかしら)
尽くしてくれる侍女のためにも考えを改めたイリーナである。
「本当にあなた、つけたら成仏してくれるの?」
恨みがましく箱を睨み付けているとタバサが朝の支度にやってくる。
「本日はどうされますか?」
といっても引きこもりがすることなんてある程度決まっている。それでもタバサは毎日呆れずに訊いてくれるのだ。いつかはイリーナが外へ出ると信じているのだろうか。
「今日は父様と母様、兄様もいないのよね?」
「はい。みなさまお帰りは遅いと窺っております」
「ならドレスの用意をして。これに似合うドレスをね」
「お嬢様?」
「タバサが言ったのよ。つけてみれば満足してくれるかもしれないって」
侯爵邸の中でなら悪役令嬢と糾弾されることもないだろう。呪いの執念に根負けしたイリーナは部屋の外へ出ることにした。
「ではとびきり美しく飾らせていただきます。久しぶりなので、腕がなりますね」
表情の変化に乏しいタバサが嬉しそうにしているのを感じる。以前のイリーナは毎日のように着飾り遊び歩いていたのだが、このところは一人で着られるような控えめな服装ばかりだことを思い出す。
(これからは屋敷の中でももう少しおしゃれするべきかしら)
尽くしてくれる侍女のためにも考えを改めたイリーナである。



