恐るべき集中力で昼を回る頃には全てを片付けたイリーナは書庫に向かう。幸いバートリス家は歴史ある魔女の家系だ。侯爵邸の書庫には学園と同等の書物が揃っている。見た目は幼くとも中身は大人。加えて前世では国語の成績も悪くはないイリーナは、次々と難解な書を読破していった。
その結果、この世界には若返りの薬は存在しないという事実にたどり着く。人体を変異させるような薬は生成が難しいらしく、成功例がないというのだ。しかしイリーナは諦めなかった。
(ないのなら私が作ればいい!)
魔法薬の調合は非常に繊細な作業だ。何種もの材料に魔法を掛け、配分を計算し、効果を上乗せしていく作業には根気も必要となるだろう。
(ゲームのイリーナはあまり成績が良くなかったみたいだけど、私には前世の知識があるもの!)
幸いなことにイリーナは前世で料理学校に通っていた。材料のみじん切りも、寸分違わぬ軽量も、繊細な調理(研究)もお手の物。加えて理科の選択は化学、不思議と出来ると信じて疑わなかった。
(けど、皮肉なものね)
自分はまた一歩悪役令嬢に近づいているのかもしれないと思う。
(ゲームのイリーナも魔法薬の授業を選択していた。怪しげな薬で何度主人公を危機に陥らせたことか……私はそんなことしないけど!)
とはいえこれは運命を変えるための戦いだ。避けては通れない道に、イリーナは小さな身体で着々と屋敷の本を読破していった。
その結果、この世界には若返りの薬は存在しないという事実にたどり着く。人体を変異させるような薬は生成が難しいらしく、成功例がないというのだ。しかしイリーナは諦めなかった。
(ないのなら私が作ればいい!)
魔法薬の調合は非常に繊細な作業だ。何種もの材料に魔法を掛け、配分を計算し、効果を上乗せしていく作業には根気も必要となるだろう。
(ゲームのイリーナはあまり成績が良くなかったみたいだけど、私には前世の知識があるもの!)
幸いなことにイリーナは前世で料理学校に通っていた。材料のみじん切りも、寸分違わぬ軽量も、繊細な調理(研究)もお手の物。加えて理科の選択は化学、不思議と出来ると信じて疑わなかった。
(けど、皮肉なものね)
自分はまた一歩悪役令嬢に近づいているのかもしれないと思う。
(ゲームのイリーナも魔法薬の授業を選択していた。怪しげな薬で何度主人公を危機に陥らせたことか……私はそんなことしないけど!)
とはいえこれは運命を変えるための戦いだ。避けては通れない道に、イリーナは小さな身体で着々と屋敷の本を読破していった。