「♪...♪*゚」



電話の着信音が鳴った。
画面には非通知の表示。
誰だろう?
潤さんには、電話番号は教えてないはずだけど…



友達なら名前が出るはずだけど…
でも、誰かが携帯を変えたということもあるかもしれない。
そう思い、出ることにした。



「……はい。」

「愛美…俺だ。」



誰の声かは、すぐにわかった。
わかった瞬間から苦しくなって、私の指が電源ボタンに触れようとした時…



「切らないで!
愛美、もう一度会いたい。
ちょっと出てこれないか?
近くのファミレス…」

「は、話すことなんてないわ。」

「会ってくれないなら、今から家に行く。」

「私はもうとっくに…」

「わかってるんだ。
興信所に頼んで調べてもらったから。」

「え……」



バレてしまったのなら、行かないわけにはいかない。
家に来られるのはいやだもの。



ファミレスまでは歩いて5分。
さっきお風呂に入ったからすっぴんだけど、お化粧なんてする必要は無い。
もう関係ない人だもの。



部屋着に長いコートを羽織り、ニット帽をかぶって、私は家を後にした。