「翔子…もし良かったら、誕生日を教えてくれる?
今度は絶対に忘れないから。」

「え……」



絶対に忘れないって…
それって、プレゼントをくれるってことなの?



その時に頭に浮かんだのは、昨日の女の人…
潤の彼女さん…
良いのかな?
彼女さんは、潤が私にプレゼントを渡しても嫌じゃないのかな?
気にしすぎ?
恋愛対象にもならないから、そんこと、潤も彼女さんも気にしないの?



(そうよね…気にすることなんてないよね。)



「7月29日。」

「そうなんだ、ありがとう。」

そう言って、潤はスマホを取りだし何かしていた。



「カレンダーに登録したから、もう大丈夫だ。」

潤は満足気に微笑む。



昔とは違い、今はスマホという便利なものがある。
確かに、カレンダーに登録しておけば、忘れることは無いだろう。
いくら忘れっぽい潤だとしても…



「ありがとう。
じゃあ、私、今年は期待して良いのかな?」

「うん。」

潤は真顔で頷いた。



潤、プレゼントのこと、気にしてくれてたのかな?
そう思ったら、申し訳ないけど、やっぱり嬉しい。



私のために、時間を割いて、あれこれ考えてプレゼントを選んでもらえるんだと思ったら、泣き出したいような気分になって来る。



「わぁ~、楽しみだなぁ!」

本当の気持ちを隠し、私は無邪気に喜んでみせた。