「面白かったな!」

「うん、すごく面白かった。」



映画が終わり、私達は映画館を後にした。
我慢出来ない程ではないけれど、ちょうどお腹が減って来た。



「なんか食べて帰ろうか?」

「え?……そうだね。
何、食べる?」

僕達は、近くの地下街に向かった。
歩いてる時にふと考えた。
翔子には彼氏がいるのに、気軽に食事に誘ったりして悪かったかな?と。



「あ、ここにしようよ。」

翔子が選んだのは、ファミレスタイプのイタリアンの店だった。
もしかして、僕にお金を遣わせまいとしてここを選んだのか?



「翔子、和食が好きだろ?」

「え?」

翔子は、どこか驚いたような顔をした。
あれ?思い違いだったかな?



「さっき、確か、和食の店があったよ。」

「うん、今日はここで大丈夫。


やっぱり、お金のことを考えてくれてるんだと思った。
昔の僕はバイトもしてなかったからいつもお金がなかったけれど、今はそれなりに持ってるのに。



日曜ということもあり、若い子や家族連れで店はけっこう混んでいた。



「前に映画に行った時、翔子にハンバーガーおごってもらったな。」

「すごい!潤、記憶力悪いのに、そんなこと良く覚えてるね。」

「僕、そんなに記憶力悪い?」

翔子は黙って頷いた。