ephemeral house -エフェメラルハウス-





「おつかれさまでした」

定時に上がってバイト先から出てすぐにスマホを取り出す

『おわったよ』

無駄に付くのが早い既読

『おつかれちゃん』

一昔前のJKかよ…………

『で、どうしたの?』

本題が気になってしょうがない私はすぐに用件を聞く。


『今電話できる?』

『いいよ~タイミングでかけてきて』


すぐにコールが鳴る





「もしもし?」

「やっほーおつかれ!」

セナって電話だとこんな声になるんだ

低いのか低くないのかよく分からない少し癖のある変な声。



「おれ夏休み入って直ぐにさ~」

夏休み前の時のようにセナはペラペラと何気ない話を楽しそうに話してる。


長い




雑談が長い






「ねぇ、結局用件は何なの?」

「あぁ…暇だから電話したかっただけ」

「は?」




………………ため息が出るわ

なんだこいつ

「あのね、だったら最初からそう言えばいいでしょ?」

至極真っ当で根本的な事を言うとセナはおどけながら

「だってこうでも言わなきゃお前電話でねえだろ」

まあ確かにそうかもしれない

「とにかくおれめっちゃ暇だから時間ある時電話付き合えよ」

こいつはあの一学期で私以外の友達を失くしたんか?

「まあ、別に私も暇だからいいけどさ」

「だろ?やっぱりおれら暇人だからな」

シンプルにムカつく



それから本当に毎日電話がかかってくるようになった

電話をしてるかLIMEで話してるか

よくもまあこんな事するもんだよ

私も含めてね