もう高校生活も1年が過ぎた
パッとしない生活を送ってなるべく目立たないように……
そんな事を気にしながら過ごした結果が
この"もう1年が過ぎた"に詰まってると思う。
この街では昔みたいな失敗はしない。
出る杭は打たれる、だからね。
「クラス替えかぁ…」
友達のいない自分にはあまり関係ない事
かなり冷めた気持ちで教室のドアを開け
自分の席を見つけ座ると
「ゆいちゃん!!また同じクラスだね!!」
………誰だっけ。
「う、うん!今年もよろしくね!!」
名前も分からないクラスメイトに話しかけられ当たり障りない言葉を返す
上辺とかウザい
あくまでも心の中でため息をついた時
教室の前の方で少し賑やかな雰囲気になってるのに気になって目をやった。
「そんでさぁ!!歩いてたら車が突っ込んできて!!!」
その中心にいる人を囲んで皆が笑ってる。
(苦手なんだよなぁ、ああいう男)
勝手に嫌悪感を抱きながらもその男たちに意識を持ってかれる
「せなそれマジかよ??めちゃくちゃウケる」
「マジだって!おれ超焦ったわ」
高2にもなって大騒ぎしてるそのセナって男にイライラしながら机に突っ伏して顔を伏せる。
気づいたら寝ていた。
夢を見た
小さい頃の夢だ
家族みんなで笑いあってご飯を食べる凄く当たり前な景色
そんな夢だった。