「なんであんたはいつも自分勝手に」
「言ってたら来た?」
それは…行かない
行くわけが無い
「それは………」
「でしょ?だからだよ」
こんな直前で私帰るなんて言えない
それも全部見据えて何も言わずに連れてきたんだこいつは
「セナ~そういうことはちゃんと本人に聞いてから連れてこないとダメだよ」
わぁ、すごい正論
「わかってるっつーの」
珍しく少し不機嫌そうな表情を浮かべたセナはぷいっとそっぽ向いて不貞腐れてる
「セナはなんでゆいを連れてきたかったの?」
あ、確かに
そこまで考える余裕なかったけど言われてみればそうだ
どうせこいつの事だから 「ひまだから」とか「こいつの嫌がる顔面白いから」とかだろうな…
「なんでって…」
少し言いずらそうにしながらセナが口を開く
「こいつ学校でおれとしか話してねえから」
いや、私はそれでいいんだよ
「だから~?」
ハルは急かさず続きを待つ
「だから….」
「少しでも仲いいヤツ増えたら楽しいんじゃねえかって」
……………なんじゃそりゃ
「別に頼んでねえしってお前は思うかもだけど友達居た方が楽しいんだよ」
「あっそう」
なんて反応すればいいか分からず素っ気ない返事をするしか無かった
てかセナがそこまで気にかけてくる理由は何?何が目的?
「あんたがそれやって何の得があんの?」
「いや、お前面白いからみんなにもっとゆいちゃんって人間知ってもらいたいっつーか」
「おれはお前と絡んでて楽しいし」
「へー、なんか意外だわ」
すごく意外
そんな事考えて私と絡んでたんだ
「でも私、人が多いのとか正直苦手だし初対面の人と話すとかも結構苦手なの」
「知ってるよ、てかおれ…………」
なんだか小声で何かを言っている気がしたけどそれは聞こえなかった
セナっていう人間を分かっていたつもりだったけど
案外まだ知らない顔があるっていうか
もしかしたら私が抱いてるイメージとは違う人間なのかも
意外と………良い奴かも…………
「ま、おれみたいなスーパー優しい友達持ったんだから感謝しろよな。ジュース買って」
前言撤回だ。
