はいどうぞと微笑んでくれた月島さんに本日何度目かのキュンを味わいながら、樋爪に手渡された白いそれを受け取る。ぺらり、表紙をめくって、最初に見えたのは並んで寝ているふたりの赤ちゃんだった。双子なのだろうか。少し大きめなベビーベッドの中で淡いピンクと淡いブルーの服を着た赤ちゃん達は服以外の違いがどこにも見られない。
可愛い。普通に可愛い。癒される。しかし、だ。何故、今、俺は、これを見せられてるのだろうか。
「それね、私と将冴の産まれてすぐのアルバムなの」
なんて言える雰囲気でもないしなぁとまたページめくれば、斜め前方から鈴を転がしたような声が聞こえた。
「え」
「桃色の服を着てるのが私で、水色のふ」
「俺と清花は双子なんだよ」
思わず視線をあげれば、にこりと微笑んでいる月島さんと若干不機嫌になっている樋爪。
「……え」
「あのね、私としょ」
「俺らは双子で家族。全然似てねぇのは二卵性だから。俺が兄貴で清花が妹。名字が違ぇのは親の都合。ひとつの敷地に家がふたつあんのも親の都合。桜花は俺の女。浮気はしてねぇ。俺と清花が付き合ってるって噂を否定しねぇのはまぁ俺らの都合。他に質問は」
何かを言いかけた月島さんを遮って、樋爪は淡々と機械のように次々と言葉を吐き出していく。
「…………え?」
一気に与えられた情報を瞬時に処理するスペックを俺の脳みそが持っているはずもなく、馬鹿の一つ覚えのように同じ単語を吐き出せば、目にも止まらぬ速さで頭頂部を叩かれた。



