「ははっ! なんて聖女が、この世界に現れてくれたんだ」

 感嘆とともに、騎士アランは眩しそうに目を細めた。

「ふーん? ちょっとはやるじゃんって、褒めてやらないこともないかも」

 悔しそうに顔を赤らめながら、侍従ルリアンが呟いた。

「……この力、この魔力。少し、興味が湧いてきた」

 そのように呟き、王宮魔術師はローブを被りなおした。

 彼らだけじゃない。男も女も。老人も子供も。皆が天を仰ぎ、剣を手に空を掛ける戦姫に心を奪われる。

「女神、さま……」

 ジークの近くで、誰かが呟いた。

 それに応えるように、ジークの青い瞳からは涙が一筋零れた。