「我が名はアリギュラ!!」

 空気を震わすほどの魔力と共に、魔王の声が轟いた。それだけで弱い者は立っていられなくなり、膝をついたり、吐き戻したりしてしまう。

 人間の軍に動揺が広がる中、魔王アリギュラは空と同じ血の色をした瞳を細める。そして、ぞっとするほどの美貌の顔を歪めて笑った。

「貴様らに最後の慈悲をくれてやる。命が惜しければ去れ。尻尾を巻いて逃げ、二度と振り返らず、残りの生を世界の隅で膝を抱えて震えて過ごせ。そうすれば、貴様らがつまらぬ一生を全うするのを見逃してやろう。だが、」

 再び稲光が走った。稲妻はいくえにも割れて空を割き、大地を抉った。いつくかは枯れ木に落ち、火を燃え上がらせ、驚いた馬たちが悲しげにいなないた。

 圧倒的覇者として君臨し、魔王は宣告した。

「残るというなら、貴様らは考えうる限り最も惨たらしい最期を迎えるだろう!! 皮を剥がれ、肉を削がれ!! 友の屍の中を彷徨い、自らの血にむせ返り!! 一刻も早く殺せと、我が臣下に咽び縋ることになるだろう!!」