魔王様は攻略中! ~ヒロインに抜擢されましたが、戦闘力と恋愛力は別のようです


 ぎゃあぎゃあと騒ぐメリフェトスと、それをいじって楽しむ、この世界でできた友人たち。

 あまりに平和。あまりに呑気。

 そんな光景を、しばしアリギュラはぽかんと眺めていた。

 それから、ふと、笑みを漏らした。

(まあ、なんでもいいか!)

 地面を蹴って、一歩を踏み出す。そのまま、ぱしりとメリフェトスの手を取って走り出せば、後ろでメリフェトスが目を丸くした。

「ちょ、我が君、何を!」

「いいから走れ、メリフェトス!」

 真っ赤な瞳をきらきらと輝かせ、アリギュラは意気揚々と声を弾ませた。

 はるか昔からでそうしてきたように、アリギュラは我が物顔でメリフェトスの手を引き、元気よく駆ける。そのせいでメリフェトスが嘆息したのも、けれども一方でどこか嬉しそうなのも、全部が全部おかまいなしだ。

 そうやって無邪気に笑いながら、彼女は人差し指を空高くつきだし、声高に宣言した。

「いくぞ、皆の者! 誰が一番早く着くか、城まで競争じゃ!」