「女神は最初、私に魔王サタンの体を与えようとしました。封印が思ったより強力で、サタンが弱体化してしまった。だからサタンと融合する形でなら、体を与えてやると」
けれども、メリフェトスは断った。この時、彼はすでに『まほキス』について色々と詳しくなっていた。例え異界であれ、大事な主君であり相棒であるアリギュラに刃を向けるなど、四天王としての矜持が許せなかったのだ。
代わりに彼は、女神に提案をした。自分を攻略対象者の一人として、アリギュラの傍に送り込めないかと。
「クレイトスは相当渋りましたよ……。なにせ、急遽架空の人間を生み出し、本来そこに収まるはずだった別の人間と置き換えるのですから」
だから彼女は条件を出してきたのだと。メリフェトスはゆっくり瞬きをした。
「私がこの世界に留まれるのは、魔王サタンを倒すときまで。それを見届けたら、大人しくこの世界から消え、もともとこの役目を負うはずだった人間に立場を返すように、と」
「そんな……っ」
前にメリフェトスが言っていたことを、アリギュラは思い出した。聖教会所属の攻略対象者。本来それは、別の男の役割だった。その男もちゃんと、この世界に存在しているのだと。


