(ここが座標の地点か)

 上空から眼下をじっくり眺めて、アリギュラは赤い瞳を細めた。

 辿り着いたのは、アルデールから東にまっすぐ飛んだ先。切り立った岩山の中腹、縦に亀裂の入った洞窟の入り口であった。

(前に、ジークあたりが話していたな。この世界の魔王はエルノア国の東のハズレ、終末の山に封印されていたと。ここがその山か?)

 まあ、そこが終わりだか終末だか、名前がなんであれ関係ない。重要なのは、非常に微かだが、洞窟の中から慣れ親しんだメリフェトスの魔力を感じるということだけだ。

 気になるとすれば、山の周辺および洞窟の入り口も含めて、アリギュラを待ち構える伏兵の姿がないことだが。

(罠か? いや。罠だろうと問題ない。身の程知らずにもわらわに向かってくる魔獣がいたら、お灸を据えてやれば済む話じゃ)