「きゃああああ!!」

「うわああああ!?」

 突如走った、巨大な稲光。それに、キャロラインだけでなく、ルリアン、クリスといった攻略対象者たちも悲鳴を上げる。そんな中、アリギュラはひくひくと苛立ちを滲ませ、ぽきぽきと不穏に指を鳴らした。

「じゃが、わらわとタイマンを張りたいというその心意気だけは認めてやる。その命知らずぶりに敬意を表して、なぶり殺しではなく一撃で仕留めてやる」

「は? なぶり……?」

「仕留めるって何を!? 命!?」

 耳を疑うルーカスと、ぎょっとして目を剥くアラン。それらを丸っと無視をして、アリギュラはばさりと黒髪を跳ね上げた。

「だいたい、メリフェトスもメリフェトスじゃ。仮にも四天王ともあろう者が、みすみす誘拐なんぞされおって。これで無事ですらなかったら、我が軍から除名してやるところだぞ」

「待ってくれ! ひとりでどこに行くつもりだ?」

 すたすたと歩くアリギュラを、ジークが慌てて呼び止める。するとアリギュラは足を止め、腰に手を当てて鼻を鳴らした。