笑顔で手を振る近衛騎士アランと、ピクニックの準備を整えながら頬を膨らませる侍従ルリアン。そして、人見知りを発動させて小さく縮こまる王宮魔術師クリス。アリギュラの後ろを付いてきているメリフェトスも含めて、『まほキス』攻略対象者が勢ぞろいである。

 ダーシー家が開いた、聖女召喚の祝賀パーティから約ひと月。あの夜を境に、キャロラインとアリギュラの交流が始まった。さらにはキャロラインを通じて、ほかの攻略対象者とも顔を合わせるようになったのだ。

 そんな中、今日はキャロライン主催のささやかなピクニックパーティ。芝生の上には、8人が座るのに十分なほどの大きさの布が敷かれている。上に置かれたバスケットには、サンドイッチやらお茶の道具やらがたっぷり入っている。

 太陽の日差しが輝く、ここちよい午後の野原。そこに集う8名の若者たち。和やかすぎる光景を前に、アリギュラはむむむと小さな唇をすぼめる。