「……な、なにをするんですか!!」
悲鳴を上げたのは、三人のうち一番小柄な娘だった。キャロラインと同じく、良家の令嬢なのだろう。美しく着飾ったドレスの胸元にべったりとケーキをつけたまま、娘は涙を滲ませ訴える。
「私は、私たちは、聖女様がいじめられているのが見て居られなくて……。なのに、こんな仕打ち、あんまりです!」
わっと顔を覆って、泣き出す令嬢。残りの二人は、泣き出した令嬢の肩を抱いて「そうよ、あんまりですわ!」とこちらを睨みつける。……なるほど。ボスはあの茶髪かと。アリギュラは狙いを定めてほくそ笑んだ。
魔法で空気椅子を作り出し、腰かける。ひらりと足を組み、アリギュラは鼻を鳴らして茶髪の娘に首を傾げた。
「いじめ? 誰が、誰をいじめたと?」
「で、ですから……。キャロライン様が、聖女様を」
「聖女とは、わらわのことであろう? 生憎、わらわにその記憶はないのだが」
「へ?」
茶髪の娘が呆けた。てっきり、キャロラインにつらく当たられ、アリギュラも苦しんでいるはずと思い込んでいたようだ。まったく、その自信はどこから湧いてくるんだか。そのように呆れるアリギュラに、茶髪の娘は「で、ですが」と言い募った。


