敵襲か!? ここは敵陣の真っただ中か!? そのように混乱するアリギュラに、白い装束をまとった一人の年おいた人間が、恭しく両手を広げた。

「ようこそお越しくださいました、聖女様。どうぞ、私共の世界をお救いください」

「お救いください!!」

 年老いた人間に続き、ほかの人間たちも唱和し、両手を広げて首を垂れる。それで、アリギュラはますます混乱した。

 この人間たちは何を言っているのだ? そもそも、どうして魔族である自分を恐れない? というか、聖女ってなんだ。だいたい、どうして魔族の王である自分に、人間ごときが救いを求めるなどと――。

「…………は?」

 ふと、アリギュラは気づいてしまった。