-----佐野 玲子 sideーーーーー
『ちょっと東堂っ』
私の叫びなど何も意味のなかったように彼女は走って帰ってしまった。少しぐらい飲もうかとおもったのに・・・
『あれが非常事態だったの?』
瀬川さんの指を指した方向をみるとそこには車に乗る、藍沢主任と桜さんと専務の様子だった
『そうですよ。瀬川さんも知っているでしょ?』
今まで別にこの事にかんして話題にするつもりもなかったし、なにかと瀬川さんは東堂に気にかけている
『うん。佐野はもちろんか・・・俺あんまり好きじゃないんだよね
藍沢さんと桜さん』
『えっ?』
意外だ。確かに藍沢主任とは少し空気が重いが、桜さんに関してはどちらかというと好意があるのかと思っていた
『なんで?』
『いいえ。桜さんは意外でしたので』
『そう?俺はああいう温室育ちって苦手でね?』
そう笑う彼の顔はいつもの仕事の営業スマイルだった
『・・・営業の顔ですよ』
『佐野しかわからないからいいよ』
