病み系先輩の彼氏になりました。

それから、俺らの関係は更に濃いものとなり、充実していた。

契約書から始まった関係だったけど、気づけば俺は、先輩のことが好きになり始めていた。

ちょっと病み系で怖いところあるけど、根は優しくて、熱い人。

色んな先輩を知れば知るほど好きになっていった。

順調に交際を重ねてきた。

気づけば、半年があっという間に過ぎていた。

そんなある日、事件が起きた。

先輩が社長に呼ばれた。

俺は気になって、仕事が手につかなかった。

それは皆も同じようで。

ソワソワしていた。

初めて社長から呼び出しされてるんだもん。

そりゃ、皆も気になるよね。

しばらくして戻ってきた先輩はいつも以上に真っ黒なオーラを放ち、誰も近づけない雰囲気を醸し出した。

キーボードを叩く音はうるさく聴こえ、かなり苛立っているのか、貧乏ゆすりをしながら画面を見ている。

何を言われたんだろう…

気になった俺は席を立ち、コーヒーを入れに行った。

そして、コーヒーを入れて戻った俺は、持っていたチョコと一緒に先輩のデスク置いた。

怖い形相で俺を睨み付けた先輩は

「あ?頼んでないけど?」と言いながらも、小さくありがとうと言ってくれた。

そのあとは俺も特に何も言わず仕事を続けた。

そして就業時間を迎え、皆は帰っていった。

俺も席を立つ。そして、先輩を見た。

先輩は帰り仕度をして席をたった。

一緒に帰る約束をしていた俺は、先輩と駐車場まで歩いて、俺の車に乗り込んだ。

俺は、『何があったんですか?』と単刀直入に聞いてみた。

「…パワハラで…クビになった…」と先輩は言った。

は?どーゆうこと…?誰がいつ、先輩にパワハラされたんだ?

俺の頭には???がたくさんついていた。

「はめられたよ。完全に…あの時、私があなたに言った言葉覚えてる?いつ辞めるの?ってやつ…」

と先輩は言う。

「ハイ。覚えてます…それがどうかしましたか?」と俺が言うと、

「あの時の音源を少し加工して、私がいかにもパワハラしてるかのような音源にして社長に証拠として渡された。メモまで作って。余程私を辞めさせたいみたいね。上に診断書まで出してきたのよ…」と先輩は言った。

「…もしかして新山さんですか?」と俺が言うと、先輩は頷いた。

「明日から来なくて良いから、有給消化で休みなさいと…。数日は引き継ぎに来て辞めれば良いから…って…」と先輩

「辞めさせるために、計算されたんですね?」と俺が言うと、頷いた先輩。

「私が何した?辞めさせる筋合いはないはず!」と先輩は怒っていた。

「…今日は飲みましょうか」と俺は言ってスーパーに向けて走っていた車の方向を変えた。

そして、彼のいるお店へと車を走らせた。