病み系先輩の彼氏になりました。

「おはようございます~」といつもと変わらないビジネススタイルを張り付けて、俺は今日もデスクに着いた。

仕事を始める。

苦戦しながらも何とか形になった。

俺はキリが良いところで、席をたった。

ずっと座って仕事をしているせいか、身体のあちこちが痛くなってくるから。

ふー と一息つきながら、俺はコーヒーを入れるため、給湯室に来た。

ここにはお湯を沸かせる環境にコーヒーメーカーまで置いてあるので、利用者は意外と多いのだ。

けど…幸い誰もいない。

少しして来た先輩は俺の唇を奪った。

「…フッ、んんん…」思わず声が出てしまい慌てて口を抑えた。

そしたら先輩は黒い笑顔で特に何も言わずに去っていった。

なんか…スゴく、敗北感を覚え、一瞬、身震いした。

気を取り直して、俺は改めてコーヒーを口にした。

そこにひょこっと現れた可愛い後輩。

昨日パンをくれた子だった。

「せ~んぱい…」とぶりっ子全開な感じで近づいてきたこの後輩、 新山さん。

何故か積極的に俺に話しかけてくれる。

「…あ、新山さん。昨日はせっかく気遣って貰ったのに、ごめんね~」と俺が言うと、

「大丈夫ですよー。もしかして先輩…石川先輩と付き合ってるんですか?」とストレートに聞いてきた。

「なんで…?」一応聞いてみた。

「だって…パン奪われてたとき、私めちゃくちゃ睨まれましたもん」という新山さん。

「…そんなこと無いと思うけど…あの人確かにもとから少し怖いから…」と必死に言い訳してみたけど。

契約書とは言え、サインしたのは自分の意思なのでとても否定は出来なかった。

そんな俺を見て、言葉に詰まってるのを確認すると、「…じゃあまた…」と足早に去っていってしまった。

どういう意味か理解出来ずに理解できなかったけど…とりあえず、俺もデスクに戻った。

それから、お昼まで一気に仕事をした。

気づけば一気にお昼になっていた。

皆がお昼に行くなか、新山さんは俺に声をかけてくる。

「せーんぱい。お昼どうします?」って。

「あー、俺弁当持ってきてるから!」と俺が言うと、

「そうなんですね~いつもお弁当ですか?」と言われて、

「そうよー」と答えると、

「…いつも自分で?」と返されて、

「もちろん!俺、自炊好きだしね~!家事とかも」と俺は笑う。

「素敵ですね!あ、じゃあ、私、そろそろお昼行ってきま~す」と言うので、

「行ってらっしゃーい」と見送った。