病み系先輩の彼氏になりました。

俺は勇気を持って反発する。

「何言ってるんですか!定時で帰れる、帰れないは別にして、身体のこと考えて食事くらい、ちゃんと食べてください!」と。

そしたら先輩、

薄く笑って、「…なら、貴方が私の食事の管理してくれる?私、朝抜き、昼抜き、夜もほとんど食べないのよ?作るのめんどくさいから…」と言ってきた。

えっ?いきなり…どういうつもりだ?

と困惑していると、『契約書、忘れないでね?貴方はもう、私の恋人なんだから』と囁かれる。

俺は身震いして頷いた。

「あの、じゃぁ、せめて連絡先…教えて貰えませんか?」と俺が言うと、

一枚の紙が渡された。

番号、メアド、Gメールアドレス、LINEIDまで全て書かれてあった。

俺は生唾をゴクリと飲んだ。

こんな経験始めてだった。

恋人がいなかったわけではない。高校まではそれなりに、青春してきた。

が、卒業して別れて、そのまま独身のまま今を迎えた。

まさか、こんな形で恋人が出来るなんて思ってもみなかった。

しばらくしてフロアが騒がしくなって来たので、先輩は電光石火の早業で、席に戻った。

俺も結局、昼を食べ損ねたのだが、

とりあえず、昼からの仕事を始めた。

3時くらいにふと時計を見た、お腹が空きすぎている。

どうしようか、悩んでいると、

同じフロアの席が近い後輩の女性が、

「せんぱーい、お腹空いてます?もしかして…」と言ってくる。

「お昼、食べ損ねちゃって…」と笑うと、

「良かったら、このパン食べてください」と俺にパンを差し出した。

「…いいの?」と俺が素直に受けとると、

「…先輩、いつも頑張ってるので」とニコっと笑ってくれた。

うっ、か、可愛い。

付き合えるならこんな子がいいのに~

と思いながら、ボーッと見てると、

黒いオーラが電光石火の速さで近づき、

「女にパン貰って喜んでんじゃないわよ…」そう言うと、俺からパンを奪ってデスクに戻っていった。

何なんだ!あれは!あの子の優しさを…

と少し怒っていると、

「…あ、取られちゃいましたか?先輩って怖いんですよね~」とその子は俺に笑いかけてきて、そだねと俺も笑った。

とりあえず、俺はコーヒーを入れに席をたった。

空腹は満たされないが、とりあえずコーヒーを飲んで気合いを入れ直して頑張った。

何とか、定時までに仕事を終えた。

久しぶりの定時帰宅に俺は喜んで、帰り支度を済ませて、「お疲れ様です~」と言って会社を後にした。