病み系先輩の彼氏になりました。

今日もミスしてしまった…

企画書の入力ミスで文面がむちゃくちゃになってしまった。

さすがにへこんで、俺は休憩室でコーヒーを入れた。

ふー と、一息つきながらコーヒーを口にした。

足音は聞こえないが、黒いオーラが近づいてくるのが見えて、俺は一瞬身震いした。

そして、彼女は俺の耳元でこう囁いた。怖い笑顔で笑いながら。

『また、ミスったんだってね?いつ辞めるの…?入社して4年も立つのに…新人より使えないよ』って。

それは俺にとって悪魔の囁きのようだった。パワハラとも言えなく無いけど、事実だから何も言えなかった。

わかってる、そんな事…

けど、一生懸命生きてるし、働いてる!

ここ辞めたら、次の就職先が見つかる可能性は低い。苦労して何とか入れた会社だ。

だから簡単に辞めるとは言えないのだ。

『1つだけ…提案があるわ…貴方に拒否権は無いけど、チャンスは与えてあげる…私の恋人になりなさい…』と。

かなりクレイジーな提案だった。

まさか、あの!病み系先輩が俺に恋人になるなら、チャンスを与えると、提案してきたのだ。

幸い、俺には彼女はいない。

俺は震えながら、「ヨロシクお願いいたします」と言うと、先輩は俺から少し距離を取り、

「良かったわ。とりあえず。なら、ここにサインして!」と俺に契約書を出してきた。

「えっ?契約書ですか?」と俺は言ってしまうが、

「言ったはずよ?貴方に拒否権はないと…。早く戻らないとね?」と黒い笑顔で腕時計を見ながら俺に圧をかけてきた。

俺はわかりましたと言い、震えながらもサインをした。

先輩はそれを持つとデスクに戻ってしまった。

俺もとりあえず戻ることにした。

デスクに戻ると、皆が俺を見てクスクス笑っている気がした。

俺は相当…自意識過剰かもしれない。

『また怒られたのかな~』と言う声はハッキリ聞こえてしまう。

俺は小さくなってしまう。

とりあえず、気持ちを切り替えて仕事を始めた。

何とかお昼になり、皆は食事に席を立つ。

そしてフロアには俺と先輩の二人きり…

俺は思いきって声をかけてみた。

「あの~先輩、お昼は…」と。

そしたら、一瞬俺を睨み付けたかと思うと勢いよく席を立ち、俺の首を締め、

「は?ふざけてんの?ご飯食べてる時間あると思ってんの?毎日残業して…たまには昼くらい抜いて、定時で帰ったら?」と言う。

うっ、怖すぎる…

この人とこれから恋人やるなんて正直、絶対無理!

本気でそう思った。