秒速ファシネイト





……え。



「なっ、何で知って」



「昼休み、上矢さんと話してるの聞こえたから」



「……悪い?」



「全然」





通常モードの冷めた声でそう返されて、少しだけ胸がズキ、と痛んだ。





…そうだよね。


一条凪は私と男が遊んでも、なーんにも、思わないよねっ!いや別に知ってましたけど!!




「あっそ。じゃーね」




私ばっかり一条凪のちょっとした言動で一喜一憂してるのが悔しくなって、できるだけ冷たい声でそう言って一条凪の横をすり抜けようとした、瞬間





「だけどバカだなーと思う」





…この期に及んで私をバカにしてくる発言に思わず足を止めて振り向く。





「…は?」



「木村さん、俺を落としたいんだよね?他の男と遊んでる場合じゃなくない?」





涼し気な笑みを浮かべる一条凪がムカつく。





……私に落ちる気なんて、ぜんぜんないくせに。