「その、まひるを傷付けたこと、ずっと謝りたかったんだ……」
「私を……?」
深月先輩は頷いた後、数日前に突然、セイ兄に『今まで悪かった』と謝られたことを話してくれた。
その際、セイ兄は『俺たちは別に恨まれたままでも構わないけど、まひるだけは恨まないでやってくれ』と頼んだらしい。
深月先輩が気まずそうに踵をアスファルトに擦り付けながら、その時のことを告げてきた。
俯いていた視線を上げると、深月先輩と正面から視線が絡まった。
「傷付けて、本当にごめん。今更信じてもらえないかもしれないけど、最初からまひるのことは恨んでなんてなかった」
その言葉に、無言で頭を横に振る。
深月先輩が言うなら信じる。それにそうじゃなかったとしても、深月先輩に謝ってもらうことなんて、私にはない。

