急いで靴を履き、ついさっき出て行ったばかりの深月先輩の後を追い掛ける。 見慣れた背中は、家の側のあの曲がり角を曲がってすぐの所で見つけられた。 「深月先輩……っ!」 私の声に、深月先輩が立ち止まって振り返った。 「あの……えっと、」 「――ごめん」 何に対する“ごめん”なのか判らなくて、思考が一気に悪い方へと転じる。 『ごめん。悪いけど、もう俺に関わるのはやめて欲しい』 そんな考えに捕(とら)われ、足が地面に縫い留められた様にその場から動けなくなった。