それを聞いた、あさ兄が力強く頷いた。
「それなら、受付期間に入ったらきちんと申請して、志望していた大学を目指すこと」
それまで、このお金は受け取らないと、あさ兄は封筒を深月先輩へと突き返した。
「お前なら、今から勉強してもなんとか間に合うんじゃねーの? つーか、諦めたって言いつつ、未練たらたらで奨学金制度のこととか調べてたみたいだから、陰ではしてただろうけど」
だろ?というセイ兄の問い掛けに、図星だったのか、先輩は肯定も否定もしない。
ただ、「大学進学は唯一、母の希望だったから」と呟いた。
ただ、母親が亡くなって、そこまでして大学に行くより、社会に出て自立する方が良いのではという気持ちの方に傾きかけていると話してくれた。
それを知ったあさ兄は、深月先輩に少しでも迷っているなら後悔しない様にと、セイ兄を説得した時の様に進学を勧めた。
結局、深月先輩は以前から志望していた大学を目指すこととなった。

